答えは、決まっている。


すぐに声をかけたいものの、私は声をかけられずにいた。


だって……。


目の前で頭を下げている男の人のことを見やるけれど、全然知らないし、見覚えがない。


この人は、なんて名前なのだろうか。


顔が見えないから、分からないだけかな?



「あ、あの」



意を決して声をかけてみる。



「顔、あげてください……!」



私に促されて、彼はゆっくりと顔をあげた。


……え。えっ?


顔を上げた彼は……。


なんと、端正な顔立ちの男の人だったのだ。


それこそ、染野くんと同じくらい……。


って、わわっ!!