「お前以外、触らねぇ。」 「………。」 何も言う事なく、莉茉の睫毛が伏せられる。 ………女達は、もう、眼中になかった。 「大雅。」 「はっ、ここに、」 「ここは、任せる。」 大雅に言い捨てた俺は、華奢な身体を抱き上げる。 抵抗する事なく、莉茉は身を任せるだけ。 その顔は、伏せられたまま。 「さて、逃げようなんて、手間の掛かるような事はしないで下さいね?」 その口調は丁寧なのに、 どこまでも冷ややかな大雅の声を背に、俺は莉茉を抱き上げたまま、その場から歩き出した。