「これが普通って……。」 莉茉が顔をひきつらせる。 「……そうだよね…。」 「莉茉?」 「暁はこの大きな家で暮らしてたんだもん、見慣れてるんだよ…。」 何かを納得させように小声でぶつぶつと呟く莉茉が、何度も頷く。 ………面白れぇ。 そんな莉茉の様子に、俺は込み上げる笑いを堪える。 「ほら、莉茉行くぞ。」 「う、うん。」 戸惑う莉茉の肩を抱いて、俺は慣れ親しんだ実家へと足を踏み入れた。