「ねぇ、名前は何て言うの?」 「………。」 私へと、伸ばされる手。 それに、顔をしかめる。 だからって、彼等をどうこうする事は、私には出来なくて。 「………。」 顔を歪ませままま、その伸ばされる手を、私は見つめるしかなかった。 ーーーー嫌だ。 込み上げる不快感。 触られたくない。 「………、」 ………………どう、すれば良い? 黙ったまま、打開策を考え込んでいた私は、全く気が付かなかった。 顔を険しくして、近付いて来ている“彼”の存在に。