「っっ、」 ………………やっとだ。 これで莉茉が高崎の姓になり、俺だけの女になる。 「ーーーーこれで良いだろ?」 差し出される、婚姻届。 さっと、目を通す。 「………えぇ、ありがとうございます。」 きちんと記入を済ませて差し出された婚姻届を、俺は笑みを浮かべて受け取った。 自分の保身の為に動いた父親を、心底、蔑むが。 そのお陰で、楽に莉茉が手に入ったのだから、悪い気はしない。 そのまま、 ーーーーー愚かな人間のままでいてくれよ? 莉茉が一生、気に病む事のないように。