「………、あぁ、妻の口から莉茉にしてきた事の全てを、はっきりと聞いた。」 「そうですか。」 どこまでも、容赦のない眼差し。 私には、決して向けられる事のない瞳を、暁はお父さんへと向ける。 「ふっ、良かったですね、目が覚めて。」 「………。」 そこに、一切、優しさの欠片もない。 皮肉を込めた暁に、お父さんがぐしゃりと顔を歪ませたのは、一瞬で。 「………………莉茉、お前には、本当にすまなかったと思っている。」 私に視線を向け、悔いるような表情を浮かべたお父さんは、また頭を下げた。