「………あぁ、」 思わず、天を仰ぐ。 本気で暁を、怒らせちゃったよ。 俺は哀れみの視線を、水瀬一家に向ける。 暁の渦巻く怒気に、その場がしんと、静まり返った。 「っ、まだ私への返事を聞いてないが?」 声を震わせる莉茉ちゃんの父親に、暁は、それは冷たい笑みを浮かべる。 「お帰り下さいと、言ったはずですが?」 ーーーー分からないのですか? そう、言わんばかりの極寒の笑みだった。