「………あれ?」 車に乗り込んだ莉茉が、不思議そうに首を傾げる。 「莉茉、どうした?」 そんな莉茉の肩を、俺は覗き込む。 「大雅さんは、いないんだね?」 「あぁ、あいつは置いてきた。」 「えっ?」 しれっと俺が言えば、莉茉が驚きの声を上げる。 「暁、どうして?」 「いれば、あいつはうるせぇからな。」 一瞬だけ目を丸くした莉茉が、次の瞬間には、くすくすと笑い出した。