「………、水瀬莉茉、です。」 取り敢えず、前田先生の後に名前だけ告げて、私は頭を軽く下げる。 他に何を言えば良いのか分からない。 「「………。」」 落ちる沈黙。 ゆっくりと下げていた顔を上げれば、四方から値踏みされるような視線を感じた。 息苦しさに、目線を落とす。 「水瀬さんの席は、あそこ、窓際の一番後ろです。」 「……はい。」 前田先生に促されて、自分の席に歩みを進めれば、こそこそと聞こえる声。