「神無。」 ふわりと撫でられる頭。 隣を見上げれば、朔くんが優しい眼差しで私を見下ろしていた。 「天野先輩と少し話してくるだけだから、神無は先に教室に戻っててよ。」 「っ、でも……。」 出来ないと、朔くんの制服を掴む手に力が入る。 「大丈夫だよ、神無。」 「………。」 「神無?」 朔くんが屈んで、俯く私に目線を合わせた。 「ーーーーーもうすぐ、莉茉さんが来る。」 小さく、私だけに聞こえるように、そっと囁かれる、彼女の事。