「………………朔くんのお兄さん、あんな柔らかい表情もするんだね。」 私の口から零れ落ちるのは、感嘆の吐息。 驚きと戸惑い。 2つの事柄が、私の中から沸き上がってくる。 「だよね?俺も驚きだし。」 笑いを含んだ声の朔くんと一緒に、窓越しに階下を見下ろす。 丁度、お兄さんと彼女の莉茉さんの姿が、寄り添うようにしながら校舎内に消えて行く所だった。