「…………………前田。」 やっぱり、お前かよ。 ノックの音の後に入ってきた奴の姿に、思わず俺の口から溜め息が出そうになった。 内心で舌打ちを打つ。 ーーーーー親父の奴、前田が莉茉の担任になる事を黙ってやがったな。 「やぁ、高崎くん。」 俺を見つけた前田は、嬉しそうに相好を崩し、しわくちゃな顔を破顔させた。 変わらぬ笑顔。 穏やかな雰囲気。