「しかし、ルキハさん。俺何着ていきましょうかねぇ…」

「…」

もうメインの話は終わったというのに、暇なのか退屈なのか、ルシファーはなかなか帰らなかった。

別に良いけど。俺もそんなに、急ぐ仕事はないから。

「何着ていくって?」

「式典に…」

「制服で良いんじゃないのか?」

式典での服装だが、基本的には、選択肢は二つある。

一つ目は、帝国騎士団の制服。

と言ってもいつも着ている制服ではなく、礼装用の制服をあつらえてあるのだ。入団式のときにも着た。

ちょっと堅苦しいし肩も凝るのだが、あれが帝国騎士にとっての、いわばスーツみたいなものだ。

で、二つ目。

一般的な、パーティー用の衣装。

タキシードとか。女性ならパーティードレスとか。

帝国騎士でない人は皆そういう衣装を身につける。

帝国騎士の皆さんは大体制服を着ていくが、別に制服でなくても構わない。

女性騎士はたまにドレスを着ていったりもするらしい。

うちのところの隊長も、もしかしたらドレスで来るのかもしれない。

とはいえ帝国騎士はほとんど皆、制服だから。別にルシファーも制服で良いんじゃないかと思うのだが。

「だって俺…あの礼装用の制服似合わないんだもん…」

「…タキシードなら似合うみたいな言い方をするな」

「ルキハさんが酷い!」

うだうだ言ってるからだ。

「それにクローゼットにしまいっぱなしだから変な臭いするし…」

「何だ。じゃあドレスでも着るか?」

「真面目に相手してくださいよルキハさん…」

「ならタキシード着れば良いんじゃないか?」

個人的には、制服より似合ってないと思うけどな。

ルシファーに何が一番よく似合うって、それはパジャマだ。

でもそんなことを言ったら、ルシファーがパジャマで式典に来る可能性があるので言わない。

「いっそ新しいのを仕立てたらどうだ?」

「うーん…」

それも気が進まないらしい。

結局、しばらくもだもだと悩んで。

「…じゃあやっぱり制服で行きましょうかね」

「あぁ、そうしろ」

俺もそうするから。

結局制服に決まって、ルシファーはのろのろと帰っていった。

全く困った男だな…と。


…思っていたら。