何の準備も出来ていなかったあたしは、ただ動揺するしか出来なくて……
それでも、ぼんやりと視界に映る柊くんの顔に、目を閉じる。
柊くんは、少しの間触れるだけのキスをして……唇を重ねたまま、左手の親指をあたしの顎へと掛ける。
そして……
「……っ……ぁ、柊っ……っ」
あたしの唇を僅かに開かせると、角度を変えてキスを深めた。
入り込んできた舌に、あたしは思わず顔を背けようとして……でも、それを柊くんに止められる。
「…、……待っ……柊く…」
「……もう十分待っただろ? 一年も待った。……もう限界」
「……っ……、…」
少しだけ意地悪にそう言った後、柊くんは再びキスを続けた。
甘く、脳まで痺れる柊くんのキス……
わざとあたしを困らせるためにしてるんじゃないかと思うくらい、長く、執拗なキス――――……
……だめだ。
元から離れられない気持ちが、今、がっちり柊くんに捕まった。
こんな腰抜け状態、柊くんにしかならないよ――――……
その後、まさに腰砕け状態になったあたしを柊くんは笑って……愛しそうにもう一度抱き締めてくれた。
「沙織、顔真っ赤。つぅか、目も潤んでるし。……そんなに良かった?」
「良っ……?! ……だって、長いんだもん」
「……俺キス下手なのかな。すげーショック。恥ずかしいからもうしないようにするかな」
「っ……よ、……良かっ……もう! 意地悪しないでよっ! こんなんなってるんだから分かってるくせに!!」
「だって長かったからなんだろ?」
「~~っ」
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