「俺も沙織と同じ。……好きすぎて身動きが取れなくなってた。
好きだからもちろん手ぇ出したい気持ちもあった。
けど……それ以上に嫌われたくなかったんだ。だから、俺には待つ事しか出来なかった」
「情けねぇな」なんて苦笑いを零す柊くんに、あたしはぶんぶん首を振る。
そんな事、情けないなんて……ある訳ない。
「う~……」
色々言いたい事があるのに。
なのに、パンクしそうな頭に、あたしは言葉を探し出せずに小さく唸る。
「……沙織、言葉を話せ」
「だってっ……いっぱいいっぱい柊くんに言いたい事があるのに、いっぱいすぎて全部分かんなくて……」
再び、「う~……」と小さく唸ったあたしを見て、柊くんが笑う。
そして……その表情を、男の顔へと一転させた。
「沙織……ちょっとだけ襲ってもいい?」
「へ……?」
びっくりして見上げれば、そこには真剣な表情をあたしに向ける柊くんの姿があって……どうしていいか分からない空気に、あたしはただ戸惑う。
襲ってもいい? って事は……つまり、抱き締めるとかハグとかそれ以上の事……だよね?
え……ってか、今?!
「で、でも心の準備がっ……」
「……時間切れ」
「……――――っ」
焦って柊くんの胸を押すと、あたしの背中に回された柊くんの腕がそれ以上の力であたしを抱き寄せる。
そして次の瞬間。
柊くんの冷たい唇が、あたしのそれと重なった。
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