【書籍化】狼皇子の継母になった私の幸せもふもふ家族計画

 ゆっくりと目を開けたときには、目の前に灰色の狼が立っていた。
 黄金の眼をもった灰色の狼はシャルロッテの周りをゆっくり一周回った。そして、空いている場所に寝そべる。

(昨日の耳打ちって、もしかしてこれ!?)

 アッシュは嬉しそうに尻尾を揺らしたあと、シャルロッテとカタルのあいだにすっぽりと収まった。

「きょ、今日こそ……触っても?」

 つい、願望が口から出た。返事はない。狼の姿になると人間の言葉は話せないようだ。しかし、揺れる尻尾がいいと言っているような気がした。
 シャルロッテはゆっくりとカタルの背中に手を伸ばす。
 指先に毛が触れた瞬間、すぐにわかった。このもふもふの誘惑には抗えないと。
 シャルロッテは両手で思いっきりカタル背を撫でる。
 大きな背中だ。手だけでは飽き足らず、シャルロッテは顔も埋めた。
 見た目以上にふわふわだ。

「ひゃ~! 幸せ~」

 シャルロッテの幸せな声が裏庭に響く。
 背中を向けたままのカタルはどんな顔をしているかはわからない。きっと呆れていることだろう。しかし、大きな尻尾は揺れている。だから、嫌ではないようだ。
 シャルロッテとカタルの隙間から顔を出したアッシュは幸せそうに目を細め小さく鳴いた。


 FIN