【ご令嬢はいつでもシリーズ5】悪役令嬢の厄落とし! 一年契約の婚約者に妬かれても、節約して推しのライブ予約してあるので早く帰りたい。だめなら胃腸薬ください!



「さあ、お嬢様のお好きなクリームたっぷりのお菓子ですわ。どれからになさいます?」

 ヘティと言う名のメイド? 侍女? が紅茶を入れてくれた。
 見ただけで胃もたれしそう……。
 えーと、あー……。
 まさかとは思うけど、これっていわゆる転生しちゃった的な、あれ……?
 
「え、ええと、ヘティさん……」
「え? お嬢様、どうなさったのですか? 私のことはヘティと呼び捨てになさってくださいませ」
「ヘティ、あの、私、なにか手に握ってなかった?」
「なにか、と申しますと?」
「このくらいの、紙で、こんな、封筒に入ってたはずなんだけど」
「紙……? いえ、お嬢様が王宮の大階段でお倒れになった際、手にはなにもお持ちではございませんでしたが?」

 うっ、うそでしょ――……?