ヘティが有能だとわかったところで、私は既に書いておいた謝罪文の元となる文面を渡した。突然ベアトリスからはるか昔のことを謝られても、相手の方は忘れていたり、気味悪がったり、悲しくなったり、腹を立てたりするかもしれない。だから、できるだけ広く失礼のないような当たり障りのない、それでも謝罪の意図があるということがはっきりとわかるような文章にしてみた。
「……そうでございますね。ここは、頭を打って心を入れ替えた、とするよりも、九死に一生を得たことで、これまでの己の行動を悔い改めるきっかけを得て、とした方が良いかと思います」
「なるほど、さすがヘティ! 早速そうするわね」
「それからこの地の文のあとに、いろいろと罪を告白したうえで謝罪を重ねて書くようですが……」
「ええ、なにがいけなかったのか、どんな酷いことをしたのか具体的にかくほうが、相手に誠意と反省していることが伝わると思ったから」
ヘティが静かに首を横に振った。



