【ご令嬢はいつでもシリーズ5】悪役令嬢の厄落とし! 一年契約の婚約者に妬かれても、節約して推しのライブ予約してあるので早く帰りたい。だめなら胃腸薬ください!



 この世界で使われている羽ペンとインク。地球のペンや鉛筆とは違って、力の込め具合や使い勝手が違って、なれるまでにかなり苦労した。しかもここから先は、謝罪の意を込めて丁寧なきれいな字で書かなければいけない。今の時点ですでにペンだこができかけているけど、ここは我慢の子。我慢の子。

 年の功のトゥールーズがリストを指でなぞる。

「アラスト男爵令嬢とバース騎士爵のご令嬢、このあたりの方々はお手紙と贈り物で差し支えありませんでしょう」
「マーディン子爵令嬢とコマロフス男爵令息、それとこちらのソルグリット侯爵令息に対する意地悪は、子どもの頃ですし、もはやあちらもお忘れなのでは?」