スパッと切り捨てられてしまった。
うう……、とりつく島もない。でも、なんとしてでも彼から協力を取り付けなければ、私には活路がない。いっそ、自分の正体を明かして、楠本容子として信じてもらうことができれば……。い、いや、それこそ、大嘘つきってひんしゅくを買うかも……。
どう説得しようかと頭を悩ませていたら、エバンがスッと目を細めた。
「ふん、下らぬ茶番を演じてなにをしようと言うのか。まあいい、お前がそのつもりなら、その茶番に乗ってやろう」
「え……」
「記憶を取り戻したいと言ったな。そのために王宮に参りたいと」
「え、あ、はいっ」



