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 ――ズキンッ!
 酷い痛みで目が覚めた。

「えっ……」

 誰の声?
 なにここ、西洋のお屋敷の部屋みたい。
 あれれ? 今起きたと思ったのに、まだ夢を見ているの……?
 
「うわっ!? 赤い、髪!?」

 自分の肩から外国人みたいな長いストロベリーブロンドがうねって流れていた。
 よく見たら、手も白くて細くて、ええっ、これ誰の手?
 半身を起こして辺りを見渡す。で……でかすぎるベッド。てっ、天蓋付き? シルクの手触りのパジャマ……? 
 なにこれ……、お、お姫様になった夢を見てるの?

 ――ズキッ!
 痛みがして頭に触れると包帯があった。

「え……、怪我、してる」

 そういえば、私、階段から転げ落ちたんだった……!
 急速に記憶がよみがえってくる。
 そう、昨日は念願だった『|CRY BABY≪クライベイビー≫』のライブのチケットを手に入れた!
 興奮のあまり、帰りの電車に乗り遅れそうになって、構内の階段を駆け下りて、それで……。

「チ、チケットは……っ!?」