部屋に戻り、ヘティにお茶を淹れてもらった。

「私、そんなにひどいお嬢様だったの……?」

 にわかにヘティの目が競泳並みにばっちゃばっちゃと泳いだ。

「あの、それは……」
「ヘティ、私本当になにも覚えてないの。お願いだから教えて欲しい。特に階段を落ちてしまったその日の出来事について」

 ためらいを抱いたまま、ヘティはポツポツと話してくれた。彼女によれば、ベアトリス・ヴィリーバはかなり困ったお嬢様だったらしい。いうなれば、そう、悪役令嬢。