「一応、見舞いに来てやった。一年契約とはいえ、婚約者同士だからな」
「一年契約……?」

 あいにくヘティから説明を受ける間もなくエバンを受け入れてしまったので、初耳もいいところだ。
 この態度と会話からして、彼も来たくて来てるわけじゃないのかな。意味がよくわからないけど、婚約はたったの一年間と言う契約らしいし、この人にとっても好ましい婚約じゃないってことみたい。
 ……まあいいや。正直私もそれどころじゃない。

「見ての通り頭以外は無事です。わざわざご足労戴きありがとうございました」

 もう帰ってもらっていいです~、と心の中だけで付け足した。