そのとき、ドアがコツコツと鳴って、メイドが報告にやってきた。

「あ、あの……。いかがいたしましょう。エバン様がお見えなのですが……」

 ヘティがすぐさま顔色を変えた。

「噂をすればですわ、お嬢様」
「え……? そのエバンって、誰なの?」

 ヘティの次の台詞に私は言葉を失った。

「お嬢様の婚約者でございます」