「ど、どうと言われましても……。いつものベアトリスお嬢様のご朝食セットでございますが……」
「いや……、どう見てもこれはおかしいでしょ? ベアトリスは……私は、いつもこんなのを食べていたの?」
「はい、ベアトリス様は幼いころより食べても食べても太らない体質のようで。お食事やお菓子はいつでも食べたいときにふんだんにと仰せつかっております」

 食べても太らない体質……、なにそれ、うらやましすぎる。
 それなら、と思ってパンケーキを食べてみた。
 ――うわっ、|甘≪あンま≫っ! |重≪おンも≫っ!
 一口で無理だとわかった。
 質素倹約に励んでいた私にとって、朝からこんなヘビーすぎる食べ物は、無理……っ!
 体自体はベアトリスのものなんだから、食べられるかもと思ったのが間違いだった。
 楠本容子の精神に引きずられて、胃がひっくり返ったように、今食べたものを吐き出しそう。

「うっ……気持ち悪い……」
「べ、ベアトリスお嬢様……っ! 申し訳ございません! い、今別の物を」

 結局、そのあともいろいろ出て来たけど、最終的には塩味の野菜スープとトーストした薄いパンが出てきて、それなら普通に食べられた。
 うんうん、私の胃袋にはこれぐらいで十分。
 ……ええ、ええ。どうせ、貧乏舌の貧しい胃袋ですよ。

「ありがとう、ヘティ、もう下げて」
「え……っ」
「どうしたの?」

 ヘティが驚いたように私を見た。