白雪姫は寵愛されている【完】



翌日。


私は驚いていて。
目もキラキラさせていた。


だってまさか…昨日の朔也くんの言った用意が、この事だったなんて思ってもみなかったから。



「う、わぁ…!」



見上げた先には、大きな観覧車。
あの有名なテーマパークにいる。


す、すごい…!
初めてです…!


ワクワクする私の隣でクスッと笑う声がした。


「白雪、迷子ならないように手つなごっか」



そう言って手を差し出された。


「ふふ…もう高校生だよ?だから大丈夫、」


そこまで言い切った後で朔也くんに強引に手を握られた。
絡められる指先に一瞬ゾクリと悪寒が走る。


「どうかした、白雪」

「…ううん。何でも無いの」



腕を引かれながら入ったのは入園前のグッズショップ。
ここでカチューシャとかを買うのだろう、沢山の人で溢れている。


「これ、つけてみて?」

「え?…わっ、!」


何か頭につけられた。


「うん。やっぱり似合ってる」


「え?」


「ほら、そこの鏡見てごらん?」



耳の付いたカチューシャだった。

…っ、っ、



「に、似合わないから…」

「駄目だよ。今日は俺とお揃いで行こう」

「朔也くん…で、でも」


沢山の人に見られてしまう。
ただでさえここでも見られているのに。

これ以上見られたら…、


取ろうとする手を止められ、私の頭に付けたカチューシャともう一つのカチューシャを持ってレジに向かった。