怜央さんがいる4階の部屋に戻ると、彼の姿はなくなっていた。
「あれ…怜央さん?」
「…おそらく、寝室に戻られたのでしょう。ご案内します」
考えるそぶりを見せた士瑛さんは、そう言って私を、立ち入り禁止と言った5階に連れて行く。
5階はまるまる怜央さんのプライベート空間らしく、心くんは入れないからと、4階でお別れになった。
おずおずと士瑛さんのあとをついていくと、彼はある扉の前で足を止める。
「こちらが寝室になります。どうぞ、お入りください」
「は、はい…」
私は目の前の扉をノックして、中に声をかける。
「怜央さん?いますか?戻ってきましたよ」
しかし、扉の向こうは、しーんとしたまま。
本当にここにいるの?という気持ちで士瑛さんを見ると、うなずかれた。
なので、そっと扉を押し開けて、私は「おじゃまします」とささやく。



