【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。



「あ、帝王(エンペラー)さん!今日も晩ご飯を作っていいですか?」


「…食べるとはかぎらないけど」


「大丈夫です、今日は食べてもらうので。楽しみにしててください」




 にこっと笑うと、振り返って私を見た帝王(エンペラー)さんはしばらくだまりこみ、目を伏せながら階段を上る。

 そのあとに続いた騎士(ナイト)くんは、笑顔で私に手を振って「がんばってね~」と言い残していった。


 帝王(エンペラー)さんに美味しいご飯を食べてもらうためにも、早く掃除を終わらせて、調理の時間をたっぷり残そう!

 私は、よし、と気合を入れて掃き掃除に戻った。




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 18時17分。

 昨日よりも25分早く掃除を終えた私は、バケツとぞうきん、手を念入りに洗って、お城のキッチンに向かった。

 今日作るのも、昨日と同じチャーハン。