【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。



 怜央はとびっきり甘く微笑(ほほえ)んで、私と唇を重ねる。

 
 一番大切な存在を奪われても、私は怜央を嫌いになれない。

 だって、“怜央が好き”って、私の心が笑っているんだもの。

 触れた唇も、私を見つめる瞳も、私を求める言葉も、全部私の胸をときめかせる。


 私を捕らえて離さない怜央の愛情が、憎らしくて――…どうしようもなく、愛おしい。




「怜央。それでもやっぱり納得がいないから、私とケンカしよう?」




 顔を離した怜央に、にっこり笑いかけると、その顔は、しゅん、と落ち込んだ表情になった。




「やだ」


「嫌でもケンカします。今日はお昼ご飯作らないから、勝手に食べてね。それじゃあ」




 私は怜央の体の下から抜け出て、走りながら寝室を出る。

 追いかけてきた怜央と始まった鬼ごっこは、士瑛さんや心くん、Night Empire(ナイトエンパイア)の人たちを巻き込む、一大騒動となったのだった。


 ――いつか、私のしあわせは怜央たちのそばにあったんだって、胸を張って言わせてね、怜央。




[終]