【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。



 怜央に、うらむような目を。

 目を開けると、肩を押されて仰向(あおむ)けに倒れる。

 私の頭の横に手をついた怜央は、真意の読めない表情をして、形のいい唇を動かした。




「俺のこと、嫌いになった?」


「…」




 もちろん、と答える声と、ううん、と答える声が頭の中に聞こえる。

 私は顔をゆがめて、笑みを浮かべた。




「嫌いになれたら、いいのに」




 私の言葉を聞いた怜央は、毒のような甘さをはらんで、笑う。

 …あぁ、私の胸、ドキドキしてる。




「好きだよ、夕華。愛してる。これからずっと、一緒にいよう」


「…私は、」




 嫌い、とはやっぱり言えなくて、両手で顔をおおった。

 矛盾した感情を飲み込んで、心の中を包み込む感情を顔に出す。

 私は両手を下げて、怜央を見つめた。




「…うん。私も好きだよ、怜央」