【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。



 士瑛(しえい)さんと(こころ)くん、2人の声がした。

 怜央は私の体を離すと、立ち上がって、私に手を差し伸べる。

 私は愛奈を見た。




「大丈夫、丁重(ていちょう)に送らせるよ」


「…。愛奈。お姉ちゃん、行くね?今まで、傷つけてごめんなさい。愛されて、しあわせに生きるんだよ」


「…」




 なにも言わない愛奈を見つめて、笑う。

 でも、顔がゆがんでしまった気がした。


 私は怜央の手を取って、立ち上がる。

 前を見ると、士瑛さんが無表情に頭を下げて、心くんが、にこっと笑った。

 恋人つなぎに変えた私の手をきゅっとにぎった怜央は、微笑(ほほえ)んで私を見つめる。



 これからは、彼らが、私と日常を共にする人たち。

 ここ数日と同じ、けれど、今までとはまったくちがう日常が、私を待っている気がした。




「行こう、夕華」