肩を抱き寄せられて、とん、と側頭部が怜央の胸にぶつかった。
視界が、真っ黒に染まっていくみたい。
体に力が入らない。
「ねぇ。妹より、俺をえらんで?」
「…」
怜央の声が、冷たいものに聞こえた。
私も、好きになる人を間違えたのかな。
こんなときに、ひどい取り引きを持ちかけられるなんて。
愛奈と今後一切会わないなんて…耐えられない。
…でも、愛奈にとっては、私がそばにいないほうがいいのかな。
「…うん。分かった。だから、愛奈をしあわせにして」
ひどく、抑揚の少ない声が出た。
怜央は、ぎゅっと私を抱きしめる。
「…じゃ、“いい人”、探しておいて」
「「かしこまりました」」



