【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。



 肩を抱き寄せられて、とん、と側頭部が怜央の胸にぶつかった。

 視界が、真っ黒に染まっていくみたい。

 体に力が入らない。




「ねぇ。妹より、俺をえらんで?」


「…」




 怜央の声が、冷たいものに聞こえた。

 私も、好きになる人を間違えたのかな。

 こんなときに、ひどい取り引きを持ちかけられるなんて。


 愛奈と今後一切会わないなんて…耐えられない。

 …でも、愛奈にとっては、私がそばにいないほうがいいのかな。




「…うん。分かった。だから、愛奈をしあわせにして」




 ひどく、抑揚(よくよう)の少ない声が出た。

 怜央は、ぎゅっと私を抱きしめる。




「…じゃ、“いい人”、探しておいて」


「「かしこまりました」」