【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。

「お姉ちゃんがそばにいたら、全部とられるっ!誰も愛奈のことなんて見てくれない!お姉ちゃんなんていなければよかったのにっ!」




 わっと、顔をおおって涙をあふれさせた愛奈を、ぼう然と見つめる。

 私が、愛奈の好きな人に好かれてた…?

 私の存在が、そんなに愛奈を傷つけてたの?


 胸に刺さった、“いなければよかったのに”という言葉に、じわりと涙がこみあげてきて、私に泣く権利はないと頭を振った。

 でも、すぐに言葉が出てこなくて、口を押さえる。

 頭がぐちゃぐちゃで、どうすればいいのか分からなくなったとき、そっと、肩に誰かの手が触れた。




夕華(ゆか)


「…れ、お…」




 優しく声をかけられて、そばにしゃがみ込む怜央の顔を見た瞬間、涙がこらえられなくなる。

 つぅ、とほおに伝った雫を指で(ぬぐ)って、目尻にキスをした怜央は、私の肩を抱いてゆっくりと唇を開いた。