【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。



「お前が(プリンセス)か?じゃあ、妹の不始末をどうにかしろ!」




 左手をにぎりこんで、顔に向かって振り抜かれそうになり、顔を背けながらぎゅっと目をつぶった。




「ねぇ、俺の(プリンセス)に手、出さないでくれる?」


「いてぇッ!」




 不機嫌そうな、怜央の低い声がしたと思ったら、総長さんが悲鳴をあげる。

 おそるおそる目を開けると、怜央が私のとなりに立っていて、総長さんがあらぬ方向に曲がった手を押さえていた。




「あ、あんたは…っ!」


「きみは、俺が直接やってあげる。俺の(プリンセス)が怒ってるし」


「っ、く、来るな…っ!」




 みんなを守るためにNight Empireを潰すと豪語していたわりには、怜央にすっかり気圧(けお)されて、顔をひきつらせながら後ずさっている。

 怜央は、こつ、こつ、とゆっくり足音をひびかせながら総長さんに近づいて、相変わらず目でとらえきれない攻撃を加え始めた。

「ぐぁッ!」とか「うぐぅッ!」とか、総長さんのうめき声によって、なにかしてるんだなと分かる。