【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。



 スパイの私が、お願いできる立場じゃないのは分かってる。

 それでも、愛奈をBomb Strikeさんから助けて欲しい。

 不良っぽい人たちに襲われても、あっさりと全員を倒してみせた怜央にはそれができるはず。


 怜央は、じっと私を見つめ返して、ゆっくり唇を動かした。




「Bomb Strikeを、潰していいの?」


「…うん。Bomb Strikeさんに…浩太(こうた)って人に、仕返しして!」




 強く訴えると、怜央は微笑(ほほえ)む。




「いいよ。…これからBomb Strike潰すから、支度させて」


「「かしこまりました」」


「おいで、夕華。Bomb Strikeに報復するところ、特等席で見せてあげる」




 怜央は、のそっと立ち上がって、私に手を差し伸べた。

 私は怜央の手をつかんで、ソファーから離れる。


 なにも知らず、のんきに過ごしててごめんね、愛奈。

 今、その悪縁を断ちに行くから――。