【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。

「じゃあ、ケンカするから。もう、離して!」


「やだ」


「は・な・し・て!」




 怜央の腕から抜け出そうともがくけど、力が強すぎて全然腕を外せない。

 なんとか動けないかと、体を左右にひねってみれば、ぐいっと、体を左側に回すことができた。

 やった、と思って限界まで体をひねると、ふにっと、唇になにかが当たる。




「え…」




 大きく開いた視界いっぱいに映るのは、ほんの少し目を丸くした怜央の顔。

 今、なにが起こったのか理解する前に、怜央の腕が緩んだのを感じて、私はハッと怜央の胸を押し、脱出した。




「あ、夕華…」


「ご飯も作らないし怜央とも話さない!私を外に出す気になるまで、話しかけてこないでね!」




 怜央にそう言い残すと、私は小走りで寝室を出る。