耽美なる箱庭




──「よぉ」


 このバカ寒い時期に、屋外を選ぶ麗はイカれてる。

 一級河川を見渡せるテラスのベンチで、優雅に足を組んでベーグルを食べていた麗は、妖艶な笑みを顔に浮かべた。


「霜降ってる12月だぞ。嫌がらせか」

「そうだけど」


 隣に腰を下ろせば、嫌味ったらしく缶のお汁粉を渡してきた。俺が好きじゃないのをわかってやっているからタチが悪い。


「ののちゃん、元気?」

「……」

「いや、ふつうに心配してんだから独占欲も大概にしてくんない? 今日だって会わせてくれないし」

「会わせるわけねぇだろ」

「あ〜、キメェ」


 乃々以外の人間は、どうでもいい。

 俺の心中を察している麗は、ホワイトピンクの髪を靡かせながら、吐き捨てるように言った口の端を微かに歪めた。

 太陽の光が、目の前に広がる青い川に反射して網膜を刺激する。

 暫しの沈黙の後、静寂は破られた。


「あの子の可能性を潰してる自覚──ある?」


 鋭利な事実を、深々と俺の真ん中に突きつける。

 どこか非難めいた口ぶりの麗は、ガーネットの双眸を俺に向けてきた。