耽美なる箱庭



 手持ち無沙汰なのか、頭を撫でるついでに髪を梳かされる。猫のブラッシングと似てるそれは、千佳くんが満足するまで終わらないだろう。

 エンドレスなでなで。


「この家買ったのも、乃々とふたりきりになるためだから。俺しか頼れなくなるように、徐々に依存させていった」

「急にオープンだね、千佳くん」

「俺のものだろ? のの」


 付き合った途端に、自己開示がすごい。

 俺のもの、って言われて嬉しくなっちゃうわたしも大概なんだけどね。彼氏に絆されるかわいい彼女ってことで。

 ふふふ、彼氏彼女。いい響きだ。


「……それにしてもさ、わたしのこと好きってもう少しはやく伝えてくれたら、こんなすれ違わなかったのにぃ……」


 ふにゅん、とわたしの頬をつまむ千佳くんは、とても機嫌が良さそう。砂糖を煮詰めたようなあまい顔で小首を傾ける。

 無防備な額に唇が触れた。


「んも〜! 聞いてる?」

「なに、のの」

「千佳くん告白してくれてたら、もっとはやく恋人になれてたのにってはなし!」

「あー……」

「すーぐ子ども扱いして! がんばってアプローチしてもあしらうし! 照れてくれてもいいのに!」


 ぷんすこ怒るも、眉を下げて笑う千佳くんは、かわいいに変換して愛でてくる。

 真面目に言ってるのに〜〜!!