耽美なる箱庭



 ありふれた愛の言葉。

 それが、千佳くんから贈られると、こんなにも嬉しくて愛おしいなんて。

 感極まって泣いてしまいそう。


「ふ、すぐ泣く」

「うぅっ、ちかくんっ」

「乃々、お前の口からも聞きたいよ」

「っ、ん」


 泣きそう、と思ったときには、既に視界が涙で潤んでいた。

 ぐすぐすと泣くわたしを抱きしめて、同じ最上級の愛の言葉を求める千佳くんに、堪えきれない想いをぶつける。


「──っ、わたしも、あいしてる……っ」


 ああ、やっと言えた。

 甘く微笑んだ千佳くんが、わたしの顎に指先をひっかけて軽く持ち上げた。薄暗い部屋で、お互いの影が残り数センチまで近づく。

 長い睫毛が伏せられれば、口付けの合図。


「──ん、っ」


 恋人同士の本物のキスだ。


「かわい」

「んっ、ふ、ちかくん」

「はやく20歳なってくれ」

「っ、んぅ……?」


 そういえば、いろいろ聞きたいことがある。

 恋人になった余韻に浸りたいけれど、今までのすれ違いやらなんやら、わたしたちは絶妙に誤解を重ねてそうなので、この際明らかにしたい。

 キスの合間に「あのね」と滑り込ませるも、全然離してくれない甘々な千佳くんに、はむはむと唇を食べられて、わたしは眉を八の字に寄せた。