耽美なる箱庭



 スマホの画面に、視線を滑らせる。

 つい最近のニュース記事らしく、逮捕された犯人の写真とともに、中学生にわいせつ行為、という見出しが出ていた。


「この犯人、10年以上も犯行を続けてたらしくて余罪もかなりあるとか。しかも、この男が住んでた場所も隣町なんで近いし……」

「え〜……きも」

「まだ成熟してない少女に興奮する、とかなんとか供述してて、ほんときもすぎて吐き気やべーっす」


 声が、右から左に流れていく。血の気が引いた。

 音が全てハウリングしてるみたいにきこえて、耳鳴りがする。きもちわるい。


「(まさか、うそだ、この、おとこのひと……)」


 もうあの日から、6年以上の月日が経ってる。

 このぼやけた写真では、同一人物と確実な判断はできないのに。フラッシュバックのように、あの日の出来事が鮮明に甦った。

 背筋が粟立って、頭が真っ白になる。


「……ののちゃん?」


 麗くんの声が、とても遠くにきこえた。

 代わりに、耳元で、あの日襲ってきた男の言葉が反芻する。


「かわいいね」


 こわい、やだ、どうしよう。

 ──────たすけて、千佳くん。