耽美なる箱庭



 声での判断だけど、SEの人が千佳くんに好意を持っていて、ヘアメイクさんが応援してる。

 盗み聞きはしたくないけど、間接的に関係者であるわたしは、気配を消すしかなかった。気まずすぎる。


「彼女持ちに手を出すとかしたくないですし」

「いやいや、まだ付き合ってるかわかんないよ。幼なじみに過保護なだけかもしれない」

「え〜、あんなべったりなんですよ?」

「幼なじみの距離感ってあんなもんだよ!」


 ヘアメイクさん、鋭い……。

 わたしと千佳くんは恋人同士じゃなくて、距離感バグの幼なじみだ。だから独り占めなんてできないし、束縛なんて以ての外。

 いやな閃きが、頭を通過する。

 千佳くんの好きな人は、身近にいるはず。麗くんのは勘違いだったから、もしかして……この人?


「じゃあ、付き合ってるかどうかだけ確認してみようかな……」

「いいね。私もアシストするから頑張ろ」


 やだ、やだやだやだ。

 わたしの千佳くん、取っちゃやだ。

 身勝手な嫉妬で、目頭が熱くなった。なにも言えない立場にいるのって、こんなに苦しいんだ。