耽美なる箱庭



 逞しい身体に両腕を回して、すっぽり包まれる。千佳くんの体温と匂いに、気が抜けて安心した。

 撮影がおわったから、服やメイクに気をつける必要もない。


「モデルのわたし、どうだった?」

「宇宙一」

「がんばったよ、ほめて」

「おら、甘えな」


 あまやかな音色で「えらい」と褒めて、砂糖よりも甘い手つきで撫でてくれる千佳くんを見上げれば、優しく額に口付けられた。

 この穏やかで凪いた顔がみれるのは、幼なじみ特権。

 へらっ、とつられて頬を緩めると、間延びした声の麗くんが「お〜い」と言って、こっちに来る。

 お疲れさま、といえば、同じ言葉が返ってきた。


「お疲れ様。感動したよ、ののちゃん」

「ん?」

「モデル緊張したはずなのに、ポージングも表情も服の魅せ方も、最高で完璧だった」

「ふふ、照れちゃう。ありがとう」

「……いや、ほんとなにこれ。かっわいすぎる」


 顔を片手で覆って、「は〜」と大きな息を吐いた麗くんの耳が赤い。

 どうしたんだろ? と千佳くんに抱きついたまま首を傾げるけど、千佳くんもわからないと肩を竦めた。


「ボクも感動したよ! 打ち上げ! 打ち上げしよ!」


 ふぁっ、びっくり。

 ウィルさん、撮影の時は電池が切れたみたいに黙っていたのに、今はとんでもない声量だ。

 ん? 打ち上げ……?