耽美なる箱庭



 そして、告げられたのは想定外の言葉。


《────モデル、なってくれない?》


 熱でだめになった脳が、フリーズした。

 自分の顔を鏡でみたら、間抜けだなあって思うくらいには、ポカンとした表情をしてたはず。


《人前が苦手なのわかるんだけど、今回のコンセプトは絶対にののちゃんが合う。デザイナーとして妥協もできないし、譲れない》

「えっ?」

《もう一回考えてくれない?》


 完全に、話に置いてけぼりだ。

 麗くんは、まるでわたしに一度断られてるかのような口ぶりだし、モデルやらデザイナーやら、初耳だらけで困惑してしまう。

 とりあえず、麗くんは千佳くんのお店でデザイナーとして働いていて、それでモデルを探してるのかな?


《ののちゃん?》

「んっと、麗くんはモデル探してるの?」

《……え? 千佳から聞いてない? あいつ、ののちゃんが嫌だからって……》

「な、なにも聞いてないかも……」


 このすれ違い、なんだろう。

 そういえば、深夜に麗くんと電話してた内容。もしかして、このこと……?

 わたしに話を通した体にして、勝手に断ってた?