耽美なる箱庭



 ん? 熱で幻聴の症状も出てるのかな……?

 勝手に、女の人だと認識していたから、低いテノールの声に驚いてしまう。見間違えたのかと思って画面を確認するも、やっぱり【ミレイ】だ。

 それに、わたしのこと知ってるような口ぶり。


「ど、どなたですか……?」


 おそるおそる、答えを求めて問うと。


《え、覚えてない? 美堂(みどう) (れい)って名前》


 そう告げられて、戸惑いが生じた。

 わたしの友達ではなさそうだし、千佳くんの友達でわたしと面識のある男の人は──……


「幼なじみ? へぇ、かっわい」
「俺、麗って言うの。麗くんね」
「警戒しないで、千佳の親友だから仲良くしてよ」


 パッ、と過去の記憶が色づく。

 そうだ。千佳くんの親友だって、一度だけ会ったことがあった。わたしのこと「かわいい」って連呼してたちょっと変な人。


「麗、くん……」

《そうそ、でも今は美麗で通してる》

「なんで?」

《イメチェンしたから、そっちの方が似合うの。ののちゃんはどっちで呼んでもいーよ》


 もしかして、苗字と名前をくっつけて美麗?

 よくわからないけど、前よりも穏やかな話し方の麗くんに「わかった」と返した。