可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

「その本…借りに来たの?」

恐る恐る指を差した、一成の持つ本を。

そういえば電話が繋がらないのにどうしてここがわかったのかなって思ってたけど、特に聞くことでもないかなって気にしてなかった。

でも、もしかしてそれはただ…

「あぁ、そしたらナノがいた」

にこっと笑う、らしくない爽やかな笑顔で。

「探してるの私じゃないかったの!?」

ただの偶然…!!!?

「ナノも探してたよ、でも諦めて本探しに来たらナノもいてラッキーみたいな」

な、何それ…

いや、別にそれが悪いとかじゃないんだけどいいんだけど。

どっちも見付かったならよかったよね、一石二鳥だもんね…

だから全然それは… 

パチッと一成が目を合わせたからドキンッてしちゃった。

「じゃ俺帰るわ」

「え?」

「続きはまた今度な、いっぱい愛してやるから」

「いらないから!全然!」

「ここ図書室だぞ、静かにしろよ」