可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

「あ、クチュリエ様だ」

一成より高い本棚が何台もある図書館、奥の方は薄暗くて静かで人がいるかどうかもわからない。話し声が聞こえたから覗きに来たのかなって、私たちも私たち以外に人がいるとも思ってないで話してたし。

「えーっ、カッコいい~」

「ビジュ最強じゃん」

「さすがクチュリエ様♡」

2人の女の子がキャッキャと話しながら、一成が振り向くとキャーッと黄色い声を出して満足したのかただそれだけで去って行った。

こんなのも日常茶飯事だけど、ただ一成の顔が見たくて寄って来る人はたくさんいて。目立つし目を引くしそれはもちろん…

だけど今はそれがさらに一成を殺気立てる。

「クチュリエの意味も知らないで勝手に呼びやがって」

チッと舌打ちをして、駆けて行く女の子たちの背中を睨みつけて。

イライラしてるのが伝わって来る、たぶん今すごく怒ってる…

うぁぁぁ、どうしよ他に何を言えば…!?

ま、前にも言ってたよね?

クチュリエの意味…
それがそんなに悪い意味には思えないけど、だってそこには…

「い、一成!」

「なんだよ」

「なんで…今回は出ようって決めたの?KAZUSHIのファッションショー」

みんな好き勝手に呼んでるかもしれない、そこに深い意味なんかたぶんないけど。

「……。」

一成のことが好きな気持ちが込められてるんだと思うよ。

「ナノがいるから」