可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

「KAZUSHIは一成を呼びたかったんだよねっ」

「そんなこと思ってねぇーよ」

「え?」

「あいつはそんなこと思ってない!」

声が大きくなった。静かな図書室は声がよく響く。

「あいつがどんだけ俺に…!」

ギリッと唇を噛んで、顔をしかめる。悔しそうな悲しそうな、そんな表情で掴んだ本棚を持つ手に力を入れた。

「いっ」

「どうせ話題性だよ、自分主催のファッションショーを少しでも盛り上げるための…客寄せパンダみたいなもんだろ」

はぁっと息を吐いて、鋭い視線で私の腕の中にある本を睨みつける。

「今までだって何度もあるんだ、ショーをやるたびに俺に出ろって…1度も出たことはないけどな」

「……。」

「出たくもねぇし、あんなやつのショーなんか」

KAZUSHIがあの日、私に言ったことはどんな意味があったんだろう。

どうして私にあんなこと言ったんだろう。

「…なんで出たくないの?」

“ただ派手なだけでつまらない。そんなところにいたら君の才能も死ぬぞ”

「あいつは俺の作る服が気に入らないんだ」

華やかで煌びやかな世界を作るファッションの世界はきっと、私ではわからないことがたくさんある。

ここは私が踏み入れていい場所だったのかな、その勇気はいつだって足りないよ。