可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

ショーまであと2日、まだドレスはトルソーに飾られたままだ。

昨日はアトリエで一成のことを待っていたけど、ちっとも戻って来なくて見回りの先生に帰るように促されて渋々出て来るしかなかった。


一成はどうしたのかな?

戻って来たのかな、ドレスの元へ。


自信作だって言ってたドレス、私が着ていいんだよね?

あのドレスを着てランウェイをー… 


「…今日もアトリエ寄って行こうかな」

何度連絡しても一成から返事がなかった。

あれだけ電話には出ろって私には怒るくせにそっちはLINE既読にさえしないじゃん。

何考えてるの?どうするつもりなの?

ショーまで時間がないのに… 


―ブブッ 


制服のスカートに入れていたスマホがなった。これはLINEだと思ってすぐに取り出して開いた。


「…え?」


ホームルームも終わってみんなが帰り出す、一成も帰ってしまうかもしれないって走って教室を出た。

スクールバッグも置いて、ただスマホだけを握りしめて廊下を走った。

一成どこ!?

なんで電話出ないの!?

絶対気付いてるでしょ!

わかってて電話出ないんでしょ!!


もうっ、どこにいるの…!?


「一成っ!!!」


大きな声で叫んだ、後ろ姿を見付けたから。

アトリエから出て来る一成の後ろ姿に向かって、大声で名前を呼んだ。