大きな引戸の入口まで来て、息を整えて部屋の中へ声をかける。
「晴明様…?香蘭です。」
広いお部屋だろうから、もう少し大きな声じゃないと届かないかもしれないと思い、ハァーッと大きく息を吸い込む。
と、突然引き戸がガラリと空いたかと思うと、バッと捕まれ気が付いた時には温かな腕の中…。
「やっと来たか。これ以上待たされたら、俺から乗り込んで行くところだったぞ。」
ぎゅっと抱きしめられて身動きが取れない。
「ご、ごめんなさい…いろいろ支度が…。」
今度は急にバッと離されて、顔を覗き込むように至近距離で見つめられる。
「ああ、元の香蘭だ。見ないうちに一段と可愛いくなった。」
嬉しそうな満面の笑みにつられて私も笑顔になる。
だけど…
「晴明様…少しお痩せになりましたか?」
痩けてしまった気がする頬に、手を伸ばして触れてみる。
「1人で食べる食事は味がしなくて食欲が湧かないだ。」
晴明様は困ったようにそう言って苦笑いする。
「それでも食べなくては…。」
執務が忙しくて食事を取る時間が無いのかもしれないと、心配になる。
「香蘭が作ってくれた饅頭が上手かったな。勿体無くて少しずつ食べた。」
「では、今度はもっと日持ちするのをお作りますね。」
自分の作った物をそこまで喜んで貰えるのは嬉しい。
「今夜はお夕飯食べられましたか?」
「…香蘭がくれた饅頭だけだ。」
それは大変と慌てて晴明様を椅子に座らせて、何か食べ物をお願いしようと、部屋から廊下へと足を運ぼうとする。
と、ヒョイと抱き上げられて、えっ!?と思考が止まって、気が付けば晴明様の膝の上…。
「な、何か晴明様に食べ物をと思って…。」
慌てふためき伝えるが、
「今は要らぬ。俺は香蘭に飢えているんだ。もっと堪能させてくれ。」
と言うが早いか急速に唇が奪われる。
幾度も幾度も角度を変えて攻め立てられる。甘くて情熱的な口付けに、頭がクラクラとのぼせてしまいそうになる。
「…っん…。」
深い口付けは、私にはまだ早過ぎると思うほどに大人の世界が見え隠れして、やっと離れた時には息も絶え絶えで、身体中が沸騰したみたいに熱くなった。
「このままずっとこうしていたい。
香蘭のいない世界はもはや俺にとって無と等しい。」
くたっと彼の逞しい胸板に寄りかかり、私も至福の時間を過ごす。
「そんな風に言われると…離れがたくなってしまいます…。」
ぎゅっと首元にしがみ付く。
「俺だって離したくない。
…知らないうちに男嫌いは治ったのか…?護衛と仲良くしていたな。」
「えっ…⁉︎俊宇君の事ですか?彼は同じ歳だったので親しみやすいと言うか、話しやすいだけです。」
「俺はそなたの婚約者ではないのか?そろそろ敬語はやめて欲しいものだ。」
恨めしそうに見つめられると、虎に睨まれたうさぎのようにシュンとなってぎゅっと縮こまってしまう。
「でも、晴明様は…皇帝陛下ですし…。」
「その前に婚約者で、そなたの前ではただの男だ。」
両頬を大きな手で抑えられて目を合わせさせられる。
寂しそうな顔の晴明様が目の前にいて、
「が、頑張ります。」
と、思わず返事をしてしまう。
「晴明様…?香蘭です。」
広いお部屋だろうから、もう少し大きな声じゃないと届かないかもしれないと思い、ハァーッと大きく息を吸い込む。
と、突然引き戸がガラリと空いたかと思うと、バッと捕まれ気が付いた時には温かな腕の中…。
「やっと来たか。これ以上待たされたら、俺から乗り込んで行くところだったぞ。」
ぎゅっと抱きしめられて身動きが取れない。
「ご、ごめんなさい…いろいろ支度が…。」
今度は急にバッと離されて、顔を覗き込むように至近距離で見つめられる。
「ああ、元の香蘭だ。見ないうちに一段と可愛いくなった。」
嬉しそうな満面の笑みにつられて私も笑顔になる。
だけど…
「晴明様…少しお痩せになりましたか?」
痩けてしまった気がする頬に、手を伸ばして触れてみる。
「1人で食べる食事は味がしなくて食欲が湧かないだ。」
晴明様は困ったようにそう言って苦笑いする。
「それでも食べなくては…。」
執務が忙しくて食事を取る時間が無いのかもしれないと、心配になる。
「香蘭が作ってくれた饅頭が上手かったな。勿体無くて少しずつ食べた。」
「では、今度はもっと日持ちするのをお作りますね。」
自分の作った物をそこまで喜んで貰えるのは嬉しい。
「今夜はお夕飯食べられましたか?」
「…香蘭がくれた饅頭だけだ。」
それは大変と慌てて晴明様を椅子に座らせて、何か食べ物をお願いしようと、部屋から廊下へと足を運ぼうとする。
と、ヒョイと抱き上げられて、えっ!?と思考が止まって、気が付けば晴明様の膝の上…。
「な、何か晴明様に食べ物をと思って…。」
慌てふためき伝えるが、
「今は要らぬ。俺は香蘭に飢えているんだ。もっと堪能させてくれ。」
と言うが早いか急速に唇が奪われる。
幾度も幾度も角度を変えて攻め立てられる。甘くて情熱的な口付けに、頭がクラクラとのぼせてしまいそうになる。
「…っん…。」
深い口付けは、私にはまだ早過ぎると思うほどに大人の世界が見え隠れして、やっと離れた時には息も絶え絶えで、身体中が沸騰したみたいに熱くなった。
「このままずっとこうしていたい。
香蘭のいない世界はもはや俺にとって無と等しい。」
くたっと彼の逞しい胸板に寄りかかり、私も至福の時間を過ごす。
「そんな風に言われると…離れがたくなってしまいます…。」
ぎゅっと首元にしがみ付く。
「俺だって離したくない。
…知らないうちに男嫌いは治ったのか…?護衛と仲良くしていたな。」
「えっ…⁉︎俊宇君の事ですか?彼は同じ歳だったので親しみやすいと言うか、話しやすいだけです。」
「俺はそなたの婚約者ではないのか?そろそろ敬語はやめて欲しいものだ。」
恨めしそうに見つめられると、虎に睨まれたうさぎのようにシュンとなってぎゅっと縮こまってしまう。
「でも、晴明様は…皇帝陛下ですし…。」
「その前に婚約者で、そなたの前ではただの男だ。」
両頬を大きな手で抑えられて目を合わせさせられる。
寂しそうな顔の晴明様が目の前にいて、
「が、頑張ります。」
と、思わず返事をしてしまう。



