一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

「こんな夜更けに…背徳感で一杯です。」

「ハハハハ…。そこまで思わなくてもそなたは真面目だな。分かった、俺も一緒に罪を被ろう。」
そう言って、嬉しそうに晴明様も一緒に焼き餅を食べ始める。

「美味しい…。」
パクパクとしばらく夢中で食べ続ける。

「食欲も出てきたようで安堵した。
俺は李生に気付かれる前に自室に戻る。明日の朝は気にせず心ゆくまでよく眠れ。」
そう言って、優しく微笑みを浮かべる。

晴明様には借りばかりが溜まってしまう。いつかこの恩を返す事は出来るだろうか…。
そう思いながらもお腹も満たされ、もう一度布団に入る。

「では、また明日。時間か空いたら様子を見に来る。それまでゆっくり養生してくれ。」
ふわりと優しく私の頭を撫ぜて、晴明様は暗闇の中に消えていった。

あれほど心細かったのに、彼が側にいるだけで心が満たされ、気付けば不安が解消される。

あの方がこの国の皇帝なのだ。
彼が王である限りこの国は安泰だと、微睡みの中で思う。

彼は…皇帝陛下なのだから、私も場を弁えなくては…。